第25回ICOM(国際博物館会議)

京都大会2019

2019年9月1-7日

プレナリー・セッション

 

9月2日(月)

博物館による持続可能な未来の共創

時間:11:45-13:15
開場:国立京都国際会館メインホール
同時通訳:英・仏・西・日

本セッションは、持続可能な発展が地域や国、そしてグローバルに至るあらゆるレベルの様々な側面に左右されることを踏まえ、未曽有の課題に直面する社会を支えていくために博物館が取るべき様々な革新的戦略について検討します。持続可能な未来を育むため、博物館が伝統と革新、そして地域の中心にあることで、これまでに成し遂げたよりもさらに多くのことが実現できるようになります。全ての博物館には役割があり、共に力を合わせることで、その効果やメリットを最大化することができます。本パネルセッションは、参加者の皆さまが、このような未来に向けた変革の方向性を共有するにあたり、持続可能な未来を形づくるために何ができるのかを考えていただく契機となります。

Morien Rees

モデレーター

Morien REES

バランジャー博物館 開発顧問
ICOM持続可能性ワーキンググループ(WGS)委員長

モデレーター

Morien REES

バランジャー博物館 開発顧問
ICOM持続可能性ワーキンググループ(WGS)委員長

 ノルウェー・バランジャー博物館の博物館開発顧問。ウェールズ大学(建築学)およびオスロ大学(美術史)卒業。
1994年、建築士から博物館の勤務に転身し、現在はノルウェー北極圏にあるバランジャー博物館に勤務。
ICOM持続可能性ワーキンググループ委員長。

Bonita Bennett

スピーカー

Bonita Alison BENNETT

ディストリクト・シックス博物館 館長

スピーカー

Bonita Alison BENNETT

ディストリクト・シックス博物館 館長

 2008年にディストリクト・シックス博物館の館長に就任。ケープタウン大学卒業の教員資格保持者である彼女は、アパルトヘイト下のケープ州西部における土地の強制収容・強制退去に関する修士論文を書いた、反アパルトヘイト運動家でもある。現在は、プレトリア大学で博士号課程に在籍。
 両親は共にディストリクト・シックス出身で、強制退去後、ケープフラット内の有色人種居住区で育った。ディストリクト・シックス博物館では、アパルトヘイト人種隔離政策に基づく強制収容・強制退去の歴史を目の当たりにすることで、人権剥奪に対する理解を深めることができる。

Yacy-Aya Froner

スピーカー

Yacy-Ara FRONER

ミナス・ジェライス連邦大学 美術学部教授
ICOM持続可能性ワーキンググループ(WGS)委員

スピーカー

Yacy-Ara FRONER

ミナス・ジェライス連邦大学 美術学部教授
ICOM持続可能性ワーキンググループ(WGS)委員

 歴史学学士(オウロ・プレット連邦大学、1988年)、社会史修士(サンパウロ大学、1994年)、経済史博士(サンパウロ大学、2001年)を持つYacy-Ara Fronerは、保全及び復元センター(CECOR)(1992年)やゲティ保全研究所(GCI)(1995年)で文化遺産の復元・保全に従事した経験のある文化遺産分野の専門家。現在はミナス・ジェライス連邦大学・美術学部の教授として、視覚芸術/保全・復元に関する学部課程や芸術分野の修士・博士課程の講義を担当。また、ミナス・ジェライス連邦大学・大学院建築研究科の、構築環境・遺産保全に関する修士・博士課程の調整業務も担当。

Cecilia Lam

スピーカー

Cecilia LAM

競馬会気候変動博物館 館長、香港中文大学 事務局長

スピーカー

Cecilia LAM

競馬会気候変動博物館 館長、香港中文大学 事務局長

 香港中文大学・競馬会気候変動博物館創設館長、香港中文大学 CPSF(Campus Planning and Sustainability Office)事務局長を兼任。高等教育分野の戦略策定・持続可能性に関する経歴を持つ彼女は、国連SDSN(持続可能な開発ソリューションネットワーク)香港支部の運営責任者や「香港持続可能なキャンパスコンソーシアム」の委員も務める。

Henry McGhie

スピーカー

Henry MCGHIE

Curating Tomorrow創設者
ICOM持続可能性ワーキンググループ(WGS)委員

スピーカー

Henry MCGHIE

Curating Tomorrow創設者
ICOM持続可能性ワーキンググループ(WGS)委員

 鳥類生態学者としての経歴を持つ熱心な自然愛好家。2000年にマンチェスター大学博物館での勤務を開始し、それ以降、学芸員・学芸部長として所蔵品の管理を担ってきた。彼が企画を指揮した環境の持続性保護や気候変動に関するギャラリー・特別展示の中には、受賞歴を誇るものもある。国内外の研究者、博物館、政策関係者の仲介や、ICOMの持続可能性ワーキンググループの委員も務める。自然保全、気候変動対策、持続可能な開発目標(SDGs)により貢献できる博物館のあり方や、人と自然が共栄できる社会の実現に向けた有効な協力体制の整備にとくに関心を寄せている。

Mamoru Mohri

スピーカー

毛利 衛

日本科学未来館 館長

スピーカー

毛利 衛

日本科学未来館 館長

 日本人として初めてスペースシャトルに搭乗した宇宙飛行士・毛利衛博士は、日本科学未来館の初代館長として、研究者と社会との橋渡し役を果たしてきた。博士独自の科学コミュニケーション活動は、宇宙授業TV生中継や、史上初の南極からの皆既日食中継など、科学の表舞台でのクール・ジャパンを演出してきた。深度6500メートルまで潜航した経験も持つ毛利博士は、常に未知の世界に挑み続ける不屈の精神の持ち主である。  2017年には、世界科学館サミットを議長として主催。国連SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた活動方針・行動指針を「東京プロトコル」としてまとめた。

Sarah Sutton

スピーカー

Sarah SUTTON

Sustainable Museums 代表/
We Are Still In 実行委員会メンバー

スピーカー

Sarah SUTTON

Sustainable Museums 代表/
We Are Still In 実行委員会メンバー

 LEED認定プロフェッショナルの資格を持つSarah Suttonは、文化団体のスタッフや管理職による持続可能なソリューションや気候変動対策の策定を、コンサルタントとしてサポートしている。We Are Still Inの実行委員会委員および文化機関担当主任として、アメリカ国内の文化機関によるパリ協定の支援を促している。環境と気候に関する米国州歴史協会(AASLH)タスクフォース共同議長、全米博物館協会(AAM)環境・気候ネットワーク役員。著書に「The Green Museum(グリーン博物館)」(共著)、「Environmental Sustainability at Historic Sites and Museums(史跡と博物館の環境持続可能性)」があり、2019年ザルツブルグ・グローバルフェローも務める。

 

 

9月3日(火)

ICOM博物館定義の再考

時間:10:30-12:00
開場:国立京都国際会館メインホール
同時通訳:英・仏・西・日

近年、博物館の目的、方針、活動は、時代に合わせて変化し再編されてきました。そのため、ICOMの博物館定義ではもはや、博物館の抱える課題や多様なビジョン、責任を十分伝えることができなくなっています。本セッションでは、博物館定義が変わる必要性や、新たな定義に向けた可能性を、有識者を交えて議論します。

Jette Sandahl

モデレーター・スピーカー

Jette SANDAHL

博物館の定義・展望・可能性委員会(MDPP)委員長

モデレーター・スピーカー

Jette SANDAHL

博物館の定義・展望・可能性委員会(MDPP)委員長

 ゲティ博物館経営研究所で博物館経営を学んだJette Sandahlは、ユニークな展示コンセプトで知られるスウェーデン世界文化博物館やデンマーク女性博物館の創設者兼館長、デンマーク国立博物館の展示・教育プログラム部長、ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワのエクスペリエンス部長、コペンハーゲン博物館館長など、国内外の博物館で数多くの要職を歴任。現在は、欧州博物館フォーラム(European Museum Forum)や、博物館の定義・展望・可能性委員会(MDPP)の委員長を務める。また、心理学の専門家として、人権、文化的共存、社会的公正を促す新たな社会規範や体制の整備に役立つ博物館の運営を目指し続ける彼女は、博物館学分野で幅広い出版活動にも従事する。

George Okello Abungu

スピーカー

George Okello ABUNGU

Okello Abungu世界遺産コンサルタント CEO

スピーカー

George Okello ABUNGU

Okello Abungu世界遺産コンサルタント CEO

 ケニア国立博物館元館長の経歴を持つケンブリッジ大学で研修を受けた考古学者。Okello Abungu世界遺産コンサルタントのCEOを務める彼は、芸術に対する犯罪研究協会(ARCA)から芸術保護者としての生涯称号を授与。また、国内および世界各地の世界遺産への傑出した貢献や、アフリカ世界遺産分野での人材育成への貢献を通し世界遺産基金賞をアフリカ出身者として初めて受賞した功績に対し、フランス政府から文学芸術騎士勲章を授与された経歴を持つ。考古学をはじめ、世界遺産管理・博物館学・文化・開発分野の研究・出版実績のほか、ICOM副会長、UNESCO世界遺産委員会のケニア 代表委員および副委員長の歴任経験がある。現在は、モーリシャス大学・世界遺産管理修士課程の創設准教授、南アフリカ・ステレンボッシュ大学ステレンボッシュ高等研究所の特別研究員も務める。

Margaret Anderson

スピーカー

Margaret ANDERSON

メルボルン旧財務省ビル博物館 館長

スピーカー

Margaret ANDERSON

メルボルン旧財務省ビル博物館 館長

 現在メルボルンの旧財務省ビル博物館の館長を務める政府所属の上級歴史学者・博物館従事者。これまで長年にわたり、西オーストラリア・南オーストラリア両州で複数の博物館の要職を歴任し、1980年代には、移民博物館の創設者兼館長を務めた経歴を持つ。博物館と地域社会との連携に関するオーストラリア国内の議論を先導する、本分野の第一人者でもある。
 女性史や物質史を主な研究テーマとするフェミニスト歴史学者である彼女は、歴史観の格差や「扱いにくい歴史」に関する博物館の展示能力に関する議論にとくに関心がある。博物館の定義・展望・可能性(MDPP)では、文化民主主義や参加型アプローチに関する分科会の委員長を務めている。

Lauran Bonilla-Merchav

スピーカー

Lauran BONILLA-MERCHAV

コスタリカ大学 教授
ICOMコスタリカ委員長

スピーカー

Lauran BONILLA-MERCHAV

コスタリカ大学 教授
ICOMコスタリカ委員長

 ニューヨーク市立大学大学院で美術史の博士号を取得。現在、ICOMコスタリカ委員長として2期目を務めながら、ICOMラテンアメリカ・カリブ地域(LAC)の財務担当を兼任。また、ICOMの博物館の定義・展望・可能性委員会(MDPP)の委員、地域社会型博物館に関する研究や地域間交流・学習の振興に取り組むEU拠出事業「EU=ラテンアメリカ・カリブ博物館プロジェクト(EU-LAC Museums project)」の運営委員会のメンバーも務める。さらに、コスタリカ大学で、美術史や博物館学に関する講義も担当している。

Shose Kessi

スピーカー

Shose KESSI

ケープタウン大学 心理学部准教授

スピーカー

Shose KESSI

ケープタウン大学 心理学部准教授

 ケープタウン大学で心理学部の准教授と人文科学部の副部長を兼任。また、脱植民地フェミニスト・サイコロジー・センター(Hub for Decolonial Feminist Psychologies)の共同所長も務める。政治心理学、組織・制度変革、人種・階級・性別などのアイデンティティに関する問題、およびこれらが変革への積極的な参加にもたらす影響を主な研究テーマとする彼女は、フォトボイス(Photovoice)と呼ばれる参加型行動研究ツールの開発を通し、社会レベルの行動を起こせる意識改革や市民動員を目指す。

Nirmal Kishnani

スピーカー

Nirmal KISHNANI

シンガポール国立大学 設計・環境学部

スピーカー

Nirmal KISHNANI

シンガポール国立大学 設計・環境学部

 シンガポール国立大学の准教授として、建築学科で持続可能なデザインについて教鞭を取る一方で、持続可能な建築について同大学にてプログラム開発に従事。2002年より、デザイン設計を実践に結び付ける政策やプロジェクトのコンサルティングを通じてアジアに関する議論に参画。2008年からは、建築雑誌『FuturArc』編集長のほか、創設に関わったアジアを拠点とする2つのデザインコンペティションの常任審査員を務める。

W. Richard West Jr.

スピーカー

W. Richard WEST Jr.

アメリカンウエスト・オートリー博物館 館長兼CEO
ICOMアメリカ役員

スピーカー

W. Richard WEST Jr.

アメリカンウエスト・オートリー博物館 館長兼CEO
ICOMアメリカ役員

 ロサンゼルスにあるアメリカンウエスト・オートリー博物館の館長兼CEO、ならびにスミソニアン協会が運営する国立アメリカン・インディアン博物館の創設者兼名誉館長を務める。オクラホマ州のシャイアン族およびアラパホー族の市民として、南シャイアン首長平和協会にも所属。ICOMアメリカおよびICSC(International Coalition of Sites of Conscience:良心のサイトの国際連合)の現理事を務め、過去にはフォード財団、スタンフォード大学、カイザーファミリー財団の理事を歴任。全米博物館協会元理事長(1998~ 2000年)。ICOM元副会長(2007~2010年)。

 

 

9月4日(水)

被災時の博物館
-文化遺産の保存に向けた備えと効果的な対応

時間:9:00-10:15
開場:国立京都国際会館メインホール
同時通訳:英・仏・西・日

大規模災害発生時、博物館には効率的・意識的かつ迅速に行動することが求められます。また人命と文化遺産を守るためには、対応策の分析と備えが不可欠です。 本セッションでは各地で起こる災害にミュージアムはいかに対応すべきか、災害リスクの回避や、発生後の適切な対処について、日本をはじめ世界の事例をもとに議論します。

Corine Wegener

モデレーター

Corine WEGENER

スミソニアン文化財レスキューイニシアティブ
ICOM災害リスク管理委員会(DRMC)委員長

モデレーター

Corine WEGENER

スミソニアン文化財レスキューイニシアティブ
ICOM災害リスク管理委員会(DRMC)委員長

 アメリカ国内外の被災地・戦闘地などの文化遺産の保護に取り組むスミソニアン文化財レスキューイニシアティブ(SCRI)の統括責任者。SCRIは、シリア、イラク、ハイチ、ネパールなど世界各地でプロジェクトを展開する支援事業で、アメリカの国家災害復興フレームワークの一部である文化遺産危機対応国家タスクフォース・FEMA環境歴史保護局の共同局長も務める。
 自然災害や武力紛争からの文化資産の保護に関する講義・出版が専門。ネブラスカ大学オマハ校(政治学学士)、カンザス大学(政治学・美術史修士)卒業。

Yuichi Ono

スピーカー

小野 裕一

東北大学 教授

スピーカー

小野 裕一

東北大学 教授

 アメリカオハイオ州立ケント大大学院地理学博士課程(気候学、風害)を2002年から2003年にかけて修了。世界気象機関(WMO)に勤務し、防災プログラムの策定に貢献。2003年から2009年には、国連国際防災戦略で、早期警報システムの開発や、ISDR科学技術委員会の運営補佐を担当。アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)防災委員会チーフとして、発展途上国、社会的弱者に配慮した防災協力・防災政策策定の地域レベルの枠組みを整備した。
 現在は、東北大学 災害科学国際研究所(IRIDeS)の教授兼所長補佐、京都大学防災研究所 大気・水研究グループ客員教授、東北大学IRIDeS災害統計グローバルセンター(GCDS)所長を務める。
 2019年11月9日から12日にかけて仙台で開催される第2回世界防災フォーラムを主催する世界防災フォーラム事務局の設立者であり代表理事でもある。

Alejandra Peña Gutiérrez

スピーカー

Alejandra PEÑA GUTIÉRREZ

プエルトリコポンセ美術館 館長
ICOMアメリカ役員

スピーカー

Alejandra PEÑA GUTIÉRREZ

プエルトリコポンセ美術館 館長
ICOMアメリカ役員

 メキシコ国立自治大学で美術史の修士を取得した建築士資格者。1992年、サンカルロス国立博物館の展示企画部長として博物館分野の経歴をスタート。その後、現代美術館館長、ベジャス・アルデス宮殿博物館の副館長および館長を歴任。2001年、メキシコ国立芸術院(INBA)副所長に就任。INBA所長補佐、外務省教育・文化協力総局の文化振興部長を歴任後、2009~2012年まではINBA芸術遺産担当副部長を務め、2013年以降はポンセ美術館の常任館長を務める。美術館館長協会会員(2014~)。ICOMアメリカ役員(2018~)。

Aparna TANDON

スピーカー

Aparna TANDON

文化財保存修復研究国際センター(ICCROM)

スピーカー

Aparna TANDON

文化財保存修復研究国際センター(ICCROM)

 文化遺産の危機対応・防災管理の専門家。文化遺産保全分野での25年の専門職経験に加え、アジア、中東、ヨーロッパ、アフリカ、南米での文化遺産保全研修経験を持つ。
 現在は、ICCROMのプロジェクトマネージャーとして、文化遺産救急措置・復元(FAR:First Aid and Resilience of Cultural Heritage)分野のグローバル人材能力開発制度の調整を担う。また、視聴覚危機遺産の保護を目的とするSOIMA(Sound and Image Collections Conservation)プログラムの指揮も担っている。過去には、ICCROMの連携型研修事業「統合型危機管理に向けたチームワーク」の企画・実施にも貢献。

Renata	Vieira da Motta

スピーカー

Renata VIEIRA DA MOTTA

ICOMブラジル委員長

スピーカー

Renata VIEIRA DA MOTTA

ICOMブラジル委員長

 博物館学研究者(博士号)。とくに、公共政策の文化的側面や、美術館の経営が専門分野。ブラジル国内の様々な文化・芸術機関の研究者職を経験後、セルジオ・モッタ研究所(ISM)所長、サンパウロ省博物館局(SISEM-SP)局長、サンパウロ省文化局博物館遺産保存部(UPPM)部長を歴任。
 2017年以降は、サンパウロ大学(USP)で博物館・収蔵物分野の顧問を担当。学長室を拠点に、USPに付属する5つの博物館の支援業務に従事。パウリスカ博物館内の歴史的建造物の全面改築に取り組む作業部会「パウリスカ博物館2022」のメンバー。ICOMブラジルの委員長として、2018~2021年までの任期を務める。

 

 

世界のアジア美術とミュージアム

時間:11:00-12:15
開場:国立京都国際会館メインホール
同時通訳: 英・仏・西・日

アジア諸国のICOM会員が増える中、ICOM京都大会はアジア美術と博物館の意義を考える理想的な場です。本セッションでは、アジア美術を扱う博物館とその美術品がどのようにその土地や外国からの鑑賞者との結びつきを深めるか、また世界中の博物館が連動することにより、どのようなメリットを享受できるかを検討します。また、近年世界中の博物館でアジア美術への理解を深めようとする動きが進められていることから、アジア美術に関する事例を取り上げ、こうした動きについて考察します。

Yukio Lippit

スピーカー

Yukio LIPPIT

ハーバード大学 教授

スピーカー

Yukio LIPPIT

ハーバード大学 教授

 ハーバード大学美術史・建築学科の教授、ラドクリフ高等研究所の元所長。 日本画が専門分野で、ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリー・オブ・アート、フリーア美術館、ニューヨークのジャパン・ソサエティーでの展示企画実績を持つ。

Masatomo Kawai

スピーカー

河合 正朝

千葉市美術館 館長

スピーカー

河合 正朝

千葉市美術館 館長

 1941年東京都生まれ。1971年に慶応義塾大学大学院博士課程を修了。1969年に慶応義塾大学文学助手、1988年同大学文学部教授を経て、2007年には慶応義塾大学名誉教授となる。2012年からは千葉市美術館館長を務める。

Kim Min-Jung

スピーカー

Min-Jung KIM

応用美術科学博物館 学芸員

スピーカー

Min-Jung KIM

応用美術科学博物館 学芸員

 オーストラリア・シドニーの応用美術科学博物館(MAAS、別称:パワーハウス博物館)のアジア美術担当学芸員。韓国生まれ、オーストラリア育ち。シドニー大学で学芸員・美術館学の修士を取得後、12年前にMAASで働き始めた。韓国の織物、陶器、金属製品のほか、日本のファッション、中国製ベルトバックル、学芸員学など、幅広い分野で出版・講義活動を行っている。
 「Rapt in Colour」(1998年)、「Earth, Spirit and Fire」(2000年)、「Sprit of Jang-in」(2010年)「Japanese folds」(2015年)、「Reflections of Asia」(2018年)などの展示企画実績がある。

Christoph Lind

スピーカー

Christoph LIND

ライス・エンゲルホルン博物館
ICOM ICFA委員長

スピーカー

Christoph LIND

ライス・エンゲルホルン博物館
ICOM ICFA委員長

 美術史・中国学・日本学修士。美術史博士。ベルリン・ドイツ歴史博物館館長。ICOMドイツ委員長(2003年)。ドイツ・マンハイムのライス・エンゲルホルン博物館展示部長。ドイツ・マンハイムのライス・エンゲルホルン博物館美術・文化史部長(2015年~)。
 展示プロジェクト実績(抜粋):「ドイツ植民地史展」(中国・青島)、「1701年初代プロイセン国王戴冠式」、「Lu Chuntao. 絵画、中国建築100点」、「バロック、ベル・エポック美術、選帝侯の美術」。

Anne Nishimura Morse

スピーカー

Anne Nishimura MORSE

ボストン美術館 日本美術シニア・キュレーター

スピーカー

Anne Nishimura MORSE

ボストン美術館 日本美術シニア・キュレーター

 ボストン美術館のウィリアム・アンド・ヘレン・パウンズ・シニア・キュレーター(日本美術)。日本美術課長として、最近では「In the Wake: Japanese Photographers Respond to 3-11(地震、その後:日本人写真家が撮るポスト3.11)」(2015年)、「Takashi Murakami: Lineage of Eccentrics(村上隆:奇想の系譜)」(2015年)などの企画を担当。日本国内では、「ボストン美術館 日本美術の至宝」(東京国立博物館、2012年)や、「ボストン美術館×東京藝術大学 ダブル・インパクト 明治ニッポンの美」(東京藝術大学、2015年)を企画。日米文化教育交流会議(CULCON)美術対話委員会の共同委員長も務める。