ICOM日本委員会の新たな役員構成と新委員長からのメッセージ

ICOM日本委員会は役員改選期を迎え、新型コロナウイルス感染拡大予防の観点から、集会形式の会議は行わず、書面により開催した総会及び理事会を経て、2020年度~2022年度の新たな役員体制が決まりました。

 

[PDF] 新役員構成(2020-2022)はこちら

 

 

また、青柳新委員長からは、就任にあたり「COVIDと博物館」と題するメッセージが寄せられました。ICOM京都大会2019の準備から開催までご尽力いただいた、青木保前委員長はじめ、理事・役員の皆さまには改めて感謝申し上げます。ICOM日本委員会では、増加しつつある会員の皆さまとのコミュニケーションの充実を図りつつ、今後も京都大会のレガシーの充実・発展に努めて参りますので、引き続きのご支援ご協力をお願い申し上げます。

 

 

 

COVID-19と博物館

 

ICOM日本委員会委員長
青柳 正規

 

新型コロナ・ウィルスのパンデミック化は現代社会に大きな影響を与えている。その結果、社会がどのように変わり、どのように変わるべきかが目下さかんに議論されているものの、世界が共有できるヴィジョンが示されているわけではない。いまだに社会活動の復活と再構築が社会の課題であるにもかかわらず、その結果である経済をまず再興しようとする的外れが横行しているところを見ると道遠しといった感を否めない。ともかく、さまざまな分野やレベルでの限定的なヴィジョンの検討がなされ共有化され、やがてその集大成が近未来のイメージを漠然と提起すことになるのであろう。その意味で博物館のあり方を博物館関係者が議論することはきわめて重要である。

 

博物館が人類発生の時からのその営為の一部を記録伝達すると同時に人類の活動の舞台である地球と宇宙の解明されている部分を提示するというこれまでの使命と機能が変わるわけではなく、むしろより重要性を増しているといえるだろう。その一方で、企画当初からブロックバスターを目指すような特別展よりも、課題の深化や問題解決に払われてきた先知恵を回顧するような企画展が主流になっていくのではないかと推測され、またそうなることが望まれる。いずれにせよ、ニュー・ノーマルな社会の中で期待される博物館の役割を再検討しあらたに構築していくためにもICOMの活動はより重要性を増すと思われる。もちろんこのとき忘れてならないのは不易流行という考え方であろう。