April 10, 2024

博物館の持続可能な開発の実践に関するICOM賞の能力開発セッション

ICOMは、新たに博物館の持続可能な開発の実践に関するICOM賞(ICOM Award for Sustainable Development Practice in Museums)を設けることとし、ICOM機関(国内委員会、国際委員会、地域同盟、関連組織)向けの能力開発セッション(Capacity Building Session)を、2024年2月13日または14日にオンラインで開催した。ICOM日本委員会からは、栗原祐司副委員長が代表して参加した(2月14日(水)16:00‐17:30 パリ時間)。

〇 Emma Nard ICOM会長より、ICOM賞は、持続可能な開発における革新的なイニシアチブと模範的な博物館の実践を表彰する最初の賞であり、ICOMが全会員に授与する最初の賞でもあるとの説明があった。

〇 ICOMのMuseum and Society Departmentより、このセッションは、ICOM賞の応募者がアジェンダ2030、SDGs(持続可能な開発目標)、5P(People、Planet、Prosperity、Peace、Partnership)、受賞基準及び受賞に期待されることを理解し、申請書を作成するために使用できる有益な資料とツールキットを紹介するとのあいさつがあった。

〇 前ICOM持続可能性ワーキンググループメンバーのHenry McGhie(Curating Tomorrow:イギリスの博物館がより良い未来を想像し、設計し、創造することを支援し、持続可能な開発目標、気候変動対策、自然保護を支援するコンサルティングプラットフォーム会社)代表より、博物館の文脈におけるSDGsの基本的な考え方について説明があった。

ICOMは、ICOMプラハ大会において、Sustainable Development Action Planを策定済み。

〇 ICCROM(文化財保存修復国際センター)事務局のJosé-Luis Pederzoli 戦略計画担当ユニットマネージャーより、ICCROMの能力開発プログラム(「Our Collections Matter」(OCM)イニシアチブの一部)を使用して、申請者がプロジェクトを通じて推進しているSDGsを特定するためにOCMツールキットをどのように活用できるかについて説明があった。
・ICCROM: Our Collections Matter
・CIMAM: Toolkit on Environmental Sustainability in the Museum Practice

〇 ICOMのMuseum and Society Departmentより、下記のプロセスについて説明があった。
・候補者の募集は2024年3月に公開され、募集期間は9月まで
・2023年と2024年のICOM団体会員である博物館は、賞に応募することができる。
カテゴリー1及び2 のICOM個人会員は応募できない(日本は、カテゴリー1)。

(選考・評価プロセス)
・ ICOMのオンライン申請フォームに記入すると、適格な承認機関(ICOM日本委員会または所属する国際委員会)に詳細情報が提供される。(ICOMが主催するオンラインの能力開発セッションに参加したICOM機関は承認されるため、ICOM日本委員会は適格機関。)

→ 応募者は、ICOM機関の委員長が署名した「ICOM賞推薦書」を申請書に添付し、ICOM事務局に送付する。
→ ICOM本部は、候補者が適格であることを確認後、リストを審査員に提供する。
→ 審査員は、適格者のリストから最初のロングリストを選択し、さらに審査を行った後、ショートリストを提供する。
→ 審査員は、賞のファイナリストである3人の最終候補者を選出する。

ICOM賞の授賞式は、2025年にドバイで開催される第27回ICOM総会で行われる予定。

審査員は、ICOM SUSTAIN(博物館と持続可能な開発に関する国際委員会)の委員長が議長を務め、公募(3月28日に募集開始:応募〆切5月31日)によって選ばれる6人の審査委員(優良なICOM会員である博物館専門家4名、持続可能な開発の専門家2名(ICOM非会員))によって選考を実施する。

文責:栗原祐司 ICOM日本委員会副委員長