March 30, 2020
「ICOM京都大会にご参加いただいた皆様へ」ICOM京都大会2019組織委員長よりご挨拶
[この文章は、ICOM京都大会2019報告書より、30の国際委員会がICOM京都大会2019期間中に行った活動報告を抜粋しています]
2019年9月1〜7日の1週間にわたって開催された第25回ICOM(国際博物館会議)京都大会2019は、ICOM大会としては過去最大の120か国・地域より4,590名の参加者をお迎えし、無事、終了することができました。主催者の一人として、ご協力いただいた皆様には、心より御礼申し上げます。大会では活発な議論が行われ、日本及び世界のミュージアム界にとって、大変、有意義な大会であったと自負しております。
大会を振り返りますと、9月2日は秋篠宮皇嗣同妃両殿下をお迎えして開催された開会式に始まり、建築家の隈研吾氏による環境との調和を目指したミュージアムについて基調講演をいただきました。その後、プレナリー・セッションでは、ミュージアムと持続可能性の関係性について深く議論する機会となりました。9月3日は、写真家・活動家の立場から、セバスチャン・サルガド氏がアマゾンの森林破壊の現状について基調講演を行い、その後、プレナリー・セッションとして、ICOMによる新たなミュージアムの定義を巡る議論が活発に行われました。9月4日はアーティストの蔡國強氏によるミュージアムが芸術に果たす意義について基調講演をいただくと同時に、災害時のミュージアムの役割や世界におけるアジア美術の捉え方についてプレナリー・セッションがありました。その後もマンガのミュージアムにおける可能性やミュージアムの地域発展について、議論が行われました。9月5日は関西圏を中心に各地で国際委員会によるオフサイトミーティングが、9月6日は地元、京都府市のご協力のもとエクスカーションが行われ、最終日である9月7日には、京都府知事・京都市長の手からICOM旗が次回開催地であるチェコ・プラハへと引き継がれ、盛大なフィナーレを迎えることができました。
博物館の定義の改定は2020年以降に持ち越しとなりましたが、プレナリー・セッション、ラウンドテーブル、そして4時間半にもわたる臨時総会において、ミュージアムの果たす役割について、歴史に残る、実りある議論ができたかと思います。また、大会決議として、日本委員会から提案され採択された「『Museum as Cultural Hubs』の理念の徹底」、「アジア地域のICOMコミュニティへの融合」は、今後のミュージアムの活動にも影響を与えうる重要なものであったと思われます。今回議論された熱気を次回開催地であるプラハに、そして、開催地である京都から日本全国へと伝えていくのが我々主催者の次なる責務ではないかと考えております。
最後になりましたが、今回の開催の地元である京都府・京都市には多大なるご協力をいただきました。重ね重ね御礼申し上げます。
ICOM京都大会2019組織委員長 佐々木丞平