
ICOMが紛争下の博物館と文化遺産の保護について声明を発表
中東情勢が緊迫化する中、ICOMは2026年3月6日にイラン・湾岸地域・東地中海における紛争下での博物館と文化遺産の保護に関する声明を発表しました。
原文はこちら
その日本語訳は、以下の通り。
ICOMは、博物館と文化遺産の保護について深い懸念を表明する。
ICOMは、イラン、湾岸地域、東地中海における最近の紛争、その人道的影響、ならびに博物館と文化遺産が直面するリスクについて深刻な懸念を表明する。ユネスコなどの政府間機関によって確認された、同地域の文化遺産に対する深刻な被害の報告に、我々は強い憂慮を抱いている。
ICOMは、文化遺産保護への核心的責務に基づき、各国内委員会、地域連盟及び国際委員会等のパートナーと連携し、状況を注視している。被災地域における会員及び文化遺産保護に携わる全ての専門家の安全と安否に引き続き留意する。ICOMは、国際人道法の尊重と民間人の保護確保の必要性を強調する。
ICOMは、すべての当事者に対し、1954年「武力紛争の場合の文化財の保護に関するハーグ条約」及びその議定書に基づく義務を尊重するよう求めるとともに、文化遺産を保護する国際法上の義務を遵守するよう改めて呼びかける。ICOMは、パートナー組織が既に発表した声明を支持し、ICOM平和声明(注1)及び武力紛争及び政治的不安定時における公文書館、図書館、博物館及び遺産場所の保護に関する宣言(注2)を参照する。
遺産の破壊は単なる地域の悲劇ではなく、全人類の損失である。対話と協力、相互尊重を通じて結束し、私たちの共有する過去とより平和な未来をつなぐ文化的架け橋を守らねばならない。
(注1)パリで開催された執行役員会議での議論を踏まえ、2025年6月27日に発出した(「ICOM Statement for Peace」)。ICOMが世界中の文化遺産を保存し、世界の博物館コミュニティを結束させるという揺るぎない取り組みを強調している。博物館が文化や国境を越えた相互理解を促進する上で果たす重要な役割を特に重視している。
ICOM Statement for Peace – International Council of Museums – International Council of Museums
(注2)1954年「武力紛争の場合の文化財の保護に関するハーグ条約」締結の70周年に当たる2024年5月30日に、ICA(国際アーカイブズ評議会)、ICOMOS(国際記念物・遺跡会議)、IFLA(国際図書館連盟)と共同で、武力紛争や政治的不安定の中で生命と文化遺産の破壊が激化していることに深い懸念を表明し、紛争関係者すべてに対し、すべてのアーカイブズ、図書館、博物館、文化遺産を尊重し保護するよう強く求めた宣言(「Declaration on the protection of archives, libraries, museums and heritage places during armed conflicts and political instability」)。
博物館は、文化遺産の保存、保護、普及に積極的に関わっており、危機の時も平和の時もコミュニティを結びつける中心的な役割を果たしており、博物館とそのコレクションは、その文化的・教育的な使命だけでなく、幅広い観客や将来の世代のアクセス確保、地域開発の促進における社会的・経済的役割においても重要であると述べている。