
ICOM、レッドリストの将来設計に向けた調査を開始
[2025.10.1] 原文はこちら
25周年を迎えるレッドリストを次世代へ
ICOMは、文化遺産の違法流通を防ぐためのツールである ICOMレッドリスト(Red Lists)を対象とした調査を開始しました。これは、レッドリストが策定されてから25周年を迎える機会を捉え、これまでの活用状況や利用者の意見を踏まえ、今後の改訂・デジタル化を見据えた設計を行うためのものです。
調査の目的・狙い
この調査では、以下の点を明らかにすることを目指しています。
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レッドリストがこれまでどのように使われてきたか
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利用者の属性(博物館関係者、調査研究者、法執行機関、古物業者など)
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現行レッドリストの課題点や改善希望
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今後の形式(デジタル版/対話型ツールなど)への要望
調査に要する時間は約10〜15分。回答締め切りは 2025年11月10日 となっています。
調査対象者(ステークホルダー)
レッドリストを一度でも使った経験がある方、あるいは作成に関わった経験のある方など、関心・関与のあるすべてのステークホルダーによる回答を募集しています。
ICOMは、以下のような関係者からの意見を重視しています。
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過去のレッドリストコーディネーター
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博物館職員・キュレーター
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所蔵品調査/由来研究者
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法執行・税関関係者
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違法文化財取引の専門家
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古物市場関係者(美術商・骨董商など)
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その他、文化遺産保護に関わる関係者全般
こうした多方面からの意見を集めることで、より現場の実態に即したレッドリストの改良を目指しています。
レッドリストとは?
レッドリスト(Red Lists)は、「リスクの高い文化財のカテゴリを示すガイドライン」 として機能するツールです。レッドリストが示すものは、実際に盗難された物品ではなく、盗難や違法流出が懸念される品目のカテゴリーや形態を挙げたものです。
これにより、警察・税関・博物館職員・美術商・研究者などが、流通過程で疑わしい文化財を識別・評価・停止する支援を受けることができます。
ICOMは2000年以降、複数の国・地域を対象にレッドリストを発行しており、違法文化財の発見・返還・流通防止に寄与してきました。
今後の展開と期待される成果
この調査の結果は、今後のレッドリスト更新や新規発行に反映され、以下のような成果が期待されます。
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レッドリストの内容・分類の改善
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デジタルツール・オンラインプラットフォームへの移行
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多言語対応・地域別版の拡充
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利用者ガイドや教育資料の整備
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各国の法制度・実務との連携強化
こうした改良がなされることで、レッドリストはより実用性を高め、違法文化財取引の抑止力としての効果を強化できると見られています。また、調査への参加を通じて、世界各地の文化遺産保護関係者と意見交換し、ネットワーク構築にも資する可能性があります。
調査参加・協力のお願い
文化遺産保護・博物館分野に関心のある方、また関連業務に携わっている方は、現場の声をICOMレッドリストの将来設計に届ける貴重な機会ですのでご協力をお願いします。
