第26回ICOMプラハ大会報告書が公開されました

[2023.4.6]   (報告書「はじめに」より抜粋)

 

第26回ICOM大会がチェコ共和国のプラハにおいて2022年8月20日(土)から8月28日(日)にわたり、“The Power of Museums”(博物館の力)という大会テーマの下に開催された。

 

2019年の京都大会から3年、新型コロナウイルスの感染拡大によるパンデミックは、博物館の世界にも大きな影響をもたらした。2020年には、世界の博物館の約3割が経営危機に陥るというレポートも出され、ICOMでも年次総会はじめほとんどの会議がオンライでの開催となった。その一方で、多くの博物館が休館に追い込まれた当初から、オンラインによる様々な情報発信の取組みが世界各地で行われ、博物館が人々の暮らしに欠かせない社会資本であることを示した。

 

こうした状況の中で、開催自体が危ぶまれたプラハ大会は、ICOM大会史上初の現地とオンラインを選択できるハイブリッド形式で開催され、現地約2,000人、オンライン約 1,600人の参加者を集めた。

 

プラハ大会では、京都大会で採択延期となった新たな博物館定義の改正が関心を集める一方で、ウクライナでの戦争における博物館や文化財の被災と支援の状況も注目された。 また、紛争だけでなく、地球環境や持続可能性、多様性や社会包摂といった課題に博物館はどのような役割を果たせるのか、活発で実りある議論が交わされた8日間であった。

 

本報告書では、プラハ大会全体の概要とともに、全体会議をはじめ各国際委員会の状況について、日本から現地あるいはオンラインで参加した方々のご協力により、お寄せいただいたレポートを紹介させていただいた。

 

一方、国内では博物館法が改正され、今後日本の博物館全体の振興が期待される中で、ICOMの新たな博物館定義を含めた国際的な博物館の動向は、今までに増して重要な意味を持ち、その目指すべき方向を理解し国内の博物館の在り方に関する議論に活かしていくことが求められている。

 

本報告書に原稿をお寄せいただいた方々をはじめ、ご協力いただいた皆さまに心より感謝申し上げるとともに、博物館が果たすべき社会的役割が問われる中で、本報告書が、幅広い関係者にご活用いただけることを切に願っている。

 

2023年3月 ICOM日本委員会委員長 青柳 正規

 

 

 

下記より閲覧及びダウンロード頂けます。

 

[PDF] 第26回ICOMプラハ大会報告書 (9MB)