July 28, 2021

ICOM臨時諮問会議(2021.7.22)報告(概要)

[2021.7.28]

2021年6月17日(木)に開催された第89回諮問会議において、外部評価運営委員会(External Review Steering Committee)の設置について、Eric Dorfman執行役員より説明があり、今年7月から調査を開始し、次回の諮問会議が開催される11月までに最終報告をまとめる予定との説明があった。しかしながら参加者からは、ICOM自ら行う評価は外部評価ではなく、第三者が行う必要があり、手続きを明確にする必要があるとの意見や質問が多く出された。これを受けて、ICOM本部は、外部評価に関して臨時諮問会議を開催することにしたものである。オンラインによる開催で、ICOM日本委員会からは、栗原祐司副委員長が代表して参加した。

7月22日(木) パリ時間 15:15~17:10(日本時間 22:15~00:10)
臨時諮問会議(Extraordinary of the ICOM Advisory Council)

Alberto Garlandini ICOM会長

参加者は最大130人(事務局含む)。

0.開会

0.1 Alberto Garlandini ICOM会長からの開会あいさつ
7月15日に開催された第156回執行役員会において、外部評価運営委員会(External Review Steering Committee;ERSC)に9人のメンバーを決定したと報告があった。男4、女5人で、地域バランスにも配慮。
・執行役員から3人:Eric Dorfman(米)、Carol Scott(英)、Carlos Brandao(ブラジル)
・国内委員会から3人:Elena Komleva(露)、Emmanuel Hamatwi(ザンビア)、Betty Karanja(ケニヤ)
・国際委員会から2人:Asma Ibrahim(ICOMON パキスタン)、Hans van de Bunte(INTERCOM マレーシア)
・地域連盟から1人:Eunice Báez Sánches(LAC コスタリカ)

また、3回目となる新型コロナウイルスの影響調査(ICOM Surveys on the impact of Covid-19 on the museum sector)の結果を公表したとの説明があった。

0.2  Regine Schulz諮問会議長からの開会あいさつ

0.3  議事確認

1. 外部評価手続き(External Review Process)の説明
外部評価を担当するコンサルタントは、アメリカを中心に活動する法務博士(弁護士)でDoyenne Strategy社長のMegan McNally氏と、公共経営修士でLuma Consulting社長のJoan Fanning氏。

外部評価を行う目的は、①2020年の会長・役員辞任等何が起こったのかを明確にする、②ガバナンス(会員の識見、認識、制度、見解並びに博物館の評価基準)の改善に向けた勧告を行う、③勧告を踏まえた規約、規則の改正に向けたガンダンス等。そのために、識別力のある質問討論により深い理解を行い、ERSCとの議論を踏まえ、客観的な報告と勧告を行う。

スケジュール的には、7月中に周知と企画・立案を行い、8-9月にICOM関係者・関係機関のインタビュー調査及び討論、その後評価と分析を行い、10月15日に報告書案作成、11月5日に諮問会議に最終報告(勧告)を行う予定。

2.外部評価委員会のプレゼン
外部評価運営委員会(ERSC)について、Eric Dorfman執行役員より説明があった。ERSCの目的は、①外部評価を行うために、入札を行うこと、②期限とコストを考慮して契約を結び、評価を確実に行うことにある。コンサルタントを選んだ基準は、①国際的な見通し(フランスの法令に関する習熟及び関連専門家との連携)、②NPO組織や文化、国際会員組織等との業務経験、③関連業務の実績、④予算見積もり等を考慮した。

Eric Dorfman執行役員

ERSCのメンバーの選考に際しては、ICOM会長から以下の基準が提示された。
・ 公平に選考するために、すべての候補者を平等に扱うこと。
・ ICOMのすべての委員会を代表すること。
・ ジェンダーや地域バランスを考慮すること。
・ 契約や評価等に関する経験を有すること。
・ 期限付きの委員会のため、短期間で集中的に議論を行えること(会議12回、6カ月以内)。

財政規模は、当初2万ユーロが計上されていたが、これでは十分な検討を行うことは不可能で、同様のコンサルを委託するためにはおよそ10万ユーロが相場であり、コストダウンに努め、FIREC(財務・資産特別委員会)とも協議した結果、5万5千ユーロが計上され、合計7万5千ユーロの予算で、7月から11月までコンサルタント契約を結ぶことになった。

参加者からは、評価の主体はERSCではなくコンサルという理解でいいのか、インタビューは誰が行うのか、3言語で行われるのか、評価結果を受けて次のフレーズはどうなるのか、費用が大きくジャンプしたのはどういうことか等々多くの質問や意見が出された。Eric Dorfman執行役員からは、基本的にはインタビューや分析はコンサルが行い、ERSCはその結果を取りまとめるのが仕事。基本的には3言語で行い、評価結果を受けた対応は、新たな特別委員会で行うことになる。重要なことは、すべての段階・プロセスにおいて透明性を確保し、誠実、公平にコミュニケーションを行うことだとの説明があった。

3.質疑応答
時間の関係で回答できなかった質問等については、追って議事録で公表予定。Muthoni Thang’ wa国内委員長会議スポークスパーソン、Kristiane Strætkvern国際委員会会議スポークスパーソン、Peter Keller事務局長より、引き続き連携協力して透明性を確保しながら外部評価を実施していきたい旨のスピーチがあった。

Alberto Garlandini ICOM会長からは、2021年10月30-31日にイタリア・ローマでG20首脳会議(サミット)を開催予定であり、世界中に多くの苦しみをもたらしているパンデミックを克服するために協力することとしており、ICOMも頑張らなければならないこと、また、2021年はICOM創立75周年を迎えることから、11月16日(火)に記念行事を行う予定であるとの説明があった。

4. その他
次回、第90回諮問会議は、11月18日(木)及び19日(金)に開催する。議題は、以下の通り。
・第26回ICOMプラハ大会(2022年)における選挙管理委員会(Nominations and Elections Committee)の指名
・第27回ICOM大会(2025年)開催地の投票
・2023年及び2024年の国際博物館の日テーマの投票
・新しいICOM本部の事務所についてプレゼン

(以上)
文責:栗原祐司 ICOM日本委員会副委員長

[PDF]  ICOM臨時諮問会議(2021.7.22)報告(概要)