May 20, 2020

[ICOMガイドライン]ミュージアムの再開に向けて:来館者とスタッフの安全を第一に

ICOM(国際博物館会議)は、新コロナウイルス感染防止対策により休館していた博物館の再開に際し、考慮すべき基本的項目をまとめた指針として「ミュージアムの再開に向けて:来館者とスタッフの安全を第一に」を公開しました(2020年5月12日)。各施設は、それぞれの国と管理者の判断で対策を講じることになりますが、日本博物館協会が策定したガイドラインとともに、国際的な指針としてご参照ください。

[原文] Museums and end of lockdown: Ensuring the safety of the public and staff

[PDF] ミュージアムの再開に向けて:来館者とスタッフの安全を第一に

ミュージアムの再開に向けて:来館者とスタッフの安全を第一に

ICOM(国際博物館会議)5月12日発表
仮訳:ICOM日本委員会

緊急事態宣言を解除する地域・国が出てきている昨今、ミュージアムの適切な再開に向け、健康・安全対策を改めて問い直し、更新する時に来ている。国ごとの規定は新型コロナウィルス感染症の拡大状況によって異なるが、ここでは来館者とスタッフの健康を守るためにミュージアムが考慮すべき基本的な項目を示したい。

来館者を迎える準備
  • ミュージアムあたりの入場者数の上限を定め、一般に周知する。
  • 展示室後との入場者数の上限を定め、一般に周知する(来館者同士の距離を1.5メートル確保するために、一定の面積あたりの最大人数を設定することを推奨)。
  • 平均滞在時間を設定し、時間枠を設ける。
  • 展示の再開は段階的に行うことを検討する。
  • 可能であれば、予約システム(オンライン、電話、Eメール)を用意する。オンラインチケットシステムを導入し、来館者は入館の際に自身でスキャンをして入場できるようにする。
  • 開館時間の延長を検討する。
  • 「65歳以上」など、特定のグループに特化した開館時間を検討する。
  • 感染の疑いのある来館者の入館を拒否する。
  • 制限事項について、施設のウェブサイト上や入館前に来館者に周知する。
パブリック・アクセス(来館者の導線)
  • 入口や受付での行列を避ける、もしくは整列を促す。
  • 推奨される1.5メートルの距離が維持されるように、フロアマーカーを検討する。
  • パーテーション等を設けて来館者と受付の距離を置く。
  • 不要な取扱や接触を避けるため、スタッフの立ち会いが必要なクロークを閉鎖する。ロッカーは利用の度に消毒することで使用可能にする。
  • 入口と出口を分け、可能であれば一方通行で鑑賞できるようにする。
  • ガイドツアーや各種プログラムは、来館者間の安全な距離が確保できる場合に実施する。その場合、特定の時間指定を設けてグループの人数を限定する。
  • カフェ、書籍コーナー、ショップの開放は国の定めに準じる。

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パブリック・アクセス(健康対策強化)
  • ミュージアム入口に手指の消毒設備を設置し、来館者に健康対策を遵守するよう促す表示をする。
  • トイレを使用できるようにする。その際、ソープを使ってお湯で手洗いし、使い捨ての衛生用品を利用できる環境を整えることが望ましい。このトイレの使用は、フロアマーカーなどを用いた「ソーシャルディスタンス」のルールに基づいて実施する。
  • オーディオガイド、ヘッドフォンなど手に触れる機器は使用の都度消毒をする。
  • 障害者をサポートする設備や教育目的の操作ボタンを備えた機器は、頻繁に消毒する。
  • 館内のドアは(可能であれば)開けたままにしておく。できない場合は、使用するたびに消毒する。
アクセス(必要に応じたアクセス制限)
  • 清掃や消毒が行き届かない部屋や施設への立ち入りは制限する。
  • 現代アートなどに見られる来館者との接触を伴うインスタレーションは閉鎖する。
  • エレベーターの使用は、移動に制約のある人に限定し、利用者間の距離を1.5メートル確保する。ボタンは使用の都度、消毒をしなければいけない。
  • 共有スペースにおいて「ソーシャルディスタンス」のルールが適用できない場合は、タイムテーブルの調整や人の流れを整理する。
受付と警備
  • 警備員は受付や館内に常駐し、来館者と展示物との間に十分な距離を確保するだけでなく、来館者同士が十分な距離を確保できるようにしなければならない。展示物と来館者の安全を確保するために、必要に応じて、スタッフを追加する。
  • スタッフに適切な防護用品(レジのシールド、マスク、消毒剤)を提供する。来館者に対しての提供は必須である。

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清掃と保全手段
オフィス
  • 持続可能な緊急対策を適応することを検討する。
  • 作品の借用期間を延長し、移動・扱い・輸送などを最小限に抑える。
  • スタッフがアクセスする場所は、国のガイドラインに基づいて清掃する。
  • 複数のスタッフが共有する備品は、定期的な消毒が必要。消毒に関するルールがない場合、使用してはならない。
  • 清掃サービスの有無に関わらず、スタッフは毎日アルコール消毒による職場の清掃を行う。
  • 現場に出向く必要のないスタッフは、国の規定に基づき在宅勤務の継続を行うこと。

最後に、ここに示された基本対策を講じることができない場合、ミュージアムを再開すべきではない。

[PDF] ミュージアムの再開に向けて:来館者とスタッフの安全を第一に